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実際の痴漢の被害にあうと内気な女性は恐怖で声が出ないとか逆らえない
とか、幼稚園の頃から男子ととっくみあいの喧嘩してた好戦的生物な沢村に
は理解しがたい内気な子も世の中存在するんだろうなぁ。
もちろん実際の痴漢は卑怯な迷惑行為なので好きではありません。
さて…今日は仕事が珍しく早上がりだったのでやってみよう。
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『蒲公英』
傾き始めた春の日差しは柔らかかった。終点から発車したばかりの特急電車の車内は
ほとんど人気がなく、静かだった。あと三十分ほど経てば大きなベッドタウンの駅に着
き、そこからは乗客も増えるだろうが今は貸し切り状態に近く、そして両側二座席ずつ
のリクライニングシートは特急料金なしの車両としては格別に座り心地がよかった。
通路側の席には僕が、そして窓際の席には小さな女の子が座っている。最近伸ばして
いる髪がふわふわと揺れる、あどけない寝顔の女の子は僕の教え子である。遠足のしお
り作成の為に開校記念日に一人で事前調査も兼ねて来た僕がこんなに早い時間に帰るの
はこの少女を夕方までには送り届けないといけない為だった。目的地まで一本の貸し切
りバスでの移動ならばまだしも、電車とバスの乗り継ぎや徒歩はまだまだ厳しいのか水
族館を出た頃には怪しかった眠そうな顔が、駅に着く頃には軽く揺らしても起きない熟
睡に変わっていた。萌ちゃん一人で助かったかもしれない。これで仲良しグループ全員
で熟睡された日には、僕はレンタカーで全員を送り届けるハメに陥っていただろう。
遠足のしおり用に何百枚と撮影したデジカメを軽くいじっていた僕は、何気なくレン
ズを萌ちゃんの寝顔に向けた。今日は一人でくる予定だったのと流石に二人で遠出した
のを知られるのはまずい事情とで折角の撮影の中、一枚もこの可愛い女の子を撮影して
いない。
春色の田園風景の車窓を背景に、一枚だけシャッターを切る。
「……、んにゅ……」
猫の様な声が漏れて萌ちゃんが目蓋を擦る。
「ごめん。起こしちゃったかな」
「……。? ……。あー!先生ずるい、何でおこしてくれないの?」
「いや、疲れただろうから」
「だってせっかく先生ととおくにきたのに。おにぎりつくったのに」
僕が預かったままだったバスケットの中身はどうやらお弁当らしい。
「それなら今から食べようか。電車の中は空いてるし」
少し不機嫌そうに唇を尖らせていた萌ちゃんは僕の提案ににっこりと笑った。
小さい子が握るおにぎりは基本的にその手の大きさに合わせて小さくなるらしい。手
鞠寿司サイズのおにぎりは梅干し・おかか・たらこ・鮭マヨ・昆布・角煮とレパートリー
に富んでいて、そしてやや焦げた卵焼きとウサギのリンゴは成人男子一名と幼女一名で
食べ切るにはそう時間はかからなかった。
「萌ちゃん、ご飯粒」
頬についていた米粒を指で取って食べた僕に、ミルクティのペットボトルを手にして
一息ついてた少女の顔が真っ赤に染まる。食べてはいけなかったのかなと考えていると、
萌ちゃんは座席に膝を付いて僕の顔をじっと至近距離で見上げてくる。
「口のはしっこ、おのり」
負けず嫌いな可愛い声の後、小さな指が僕の口の端を擦る。が簡単に取れなかったら
しく指が何度も往復する。
「そんなの舐めればとれ……」
言い終わるよりも早く、小さな舌が僕の口の端を舐め上げた。自宅ならばともかく公
共交通機関の中でそれはまずいと思った僕が避けようとしたが、萌ちゃんの小さな手は
僕の肩に両方とも乗っていて逃そうとしない。
小さな舌がぺろぺろと口の端を舐める。
僕はほんの少しだけ首を窓側に向けた。
「……。おのり、とれた」
先刻よりも真っ赤な顔になった萌ちゃんの手が可愛らし過ぎる力でぽこぽこと僕の肩
を何度も叩き、そして真っ赤な頬に添えられる。
「ずるい。こまらせちゃうんだから、こまらせちゃダメ」
リクライニングシートに埋もれそうな小さな身体で恥ずかしさを誤魔化そうと足を前
後に揺らす萌ちゃんに、僕は頭を軽く叩く様に撫でる。
「電車の中では暴れたら駄目だよ」
「んもぉ、すぐにこどもあつかいするっ」
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痴漢なんて出来ないくらいお子様でした(汗)。
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